【2021年冬アニメ】ランキング・評価理由【10作品】
本田(@someonehonda) です。
2021年冬アニメを見て色々書きたいことを書いてランキングもつけました。興味が薄れたものから見なくなり、1話評価や中間レポートの時と比べて非常に寂しいランキングになってしまいました。なお2期や続編を除いています。
2021年冬アニメについての記事はこちら
【2021年冬アニメ】1話ランキング・オススメ5選【16作品】
以下ランキング(左右差あり)
S+(是非オススメしたい)
S(オススメできる)
SK∞、ホリミヤ、PUI PUI モルカー
A(良かった)
弱キャラ友崎くん、バック・アロウ
B(オススメはしない)
IDOLY PRIDE、ゲキドル、装甲娘戦記
オススメの作品はオススメの作品です。見ていない人は見てください。
以下より個別レビュー、クール後半+総括のようなものを続けます。
ランキングに反映するにあたっては、映像への評価を重めに観つつ、結末や全体の流れも重視しています。ビジュアルや音楽の評価に引っ張られすぎないように気をつけたつもりです。
[]で囲んだ部分は作品を楽しむのに重大なネタバレです。白地に白で書き込んだので、選択して表示して下さい。
無職転生 (S+)
ザラザラ質感の特徴的な線と圧倒的質と量の描き込みに見入ってしまった。壮大かつ設定の細かい背景に、クール後半になっても有り余る迫力の戦闘シーンが見れた。また戦闘以外でも、例えば歩くルーデウスをメインに映してモノローグを喋っている側でピンボケしたエリスが小躍りしているところなど、特別必要でも無さそうなディティールにも余念が無く拘りが凄くて飽きない映像だった。
内容も、後半での過ち(ネタバレ)がしっかり心に来るし、それを受け止めて仲間と乗り越えようとするところがアツかった。様々な景色を見て色々なことが起こるが、それも緻密に設定され尽くした広大な世界のほんの一部を見ているに過ぎないという懐の深さがたまらない。
ビジュアルにドラマ性に設定に、すべて凄かったのだが逆にレビューしにくい。まずは映像目当てに見て欲しい。
ワンダーエッグ・プライオリティ (S+)
全体でめちゃくちゃビジュアル良かった。特に、背景がリアルに描き込んであるのが目を引いた。別空間での戦闘時もそうだし、何気ない日常の小物まで細かく拘りを感じた。薄暗い学校の廊下や雨の描写、それとアイの部屋が特に好きだった。特に変哲のない屋内をくっきりと生活感が出るほどに描き込むアニメは珍しいのではと思う。空間とキャラとのサイズ感が一般的なアニメよりもかなり写実的だったのが、そのように感じる一因だったと思う。1話評価の時に挙げた寄りまくりのカメラワークは以降目立たなくなったが、魅せる背景は健在だった。
別れや旅立ちのテーマに忠実な清々しいOPも好きだけどとにかく爽やかなEDのおかげで重くなりすぎずに見れたと思う。
最終盤では、桃恵の任務でアレコレあり、アイと教師でアレコレあり、謎空間やワンダーエッグについての謎が明かされ始めたりと物語がかなり動いた(微ネタバレ)が、最終話でゴチャゴチャせずにまとまったので凄かった。(素振り)
12話は、片付いていない部分が結構あり、映像も部分的に安くなっていてかなり不安になったが、実質的な最終話は6月に見れるらしい。期日までに完成しなかったそうだが(監督Twitterより)、何はともあれ見れるのはありがたい。素晴らしい対処だと思った。
SK∞ (S)
OP映像の動きがすごくて格好いい。キャラも設定ももりもりだけど、それによって独特な画になるし、しっかりストーリーに回収されていてスマートさを感じた。主人公の、仲間への劣等感との向き合い方や、ラスボス的存在と周りの人物達の過去の因縁といった複数のアツい要素がありとても盛り上がった。
総集編も、「入院したスケーターのAIスケボーに録画されていた映像を見舞いに来た仲間達が見ている」体でオーコメ的に喋っていて巧いなと思った。
シャドウを攻撃した殺人未遂男の情報は出ずに終わったけど、ちゃんと捕まってほしい。
脚本がプリンセス・プリンシパルと同じ人だと後から気づいたが、2つの作品で共通点を見出すには私が浅かった。ただ、私は両作品で共通して話の造りにスマートさを感じており、そう感じさせる何かがあるらしい。
後半話数で主人公の妹の主張が強いように感じてクレジットを見たら、主人公とその妹の声優が夫婦キャスティングだったのでほんわかとなった。(前にカバネリ婚として話題になっていた二人)
ホリミヤ (S)
ほっそいキレイな線とちょっと淡いカラフルな色でビジュアルがめちゃめちゃ好きだった。OPぽくない暗めなドキドキするOP、ザ00年代JpopなEDとも好みだった。映像が新しいのにガラケー世代なのが良い味出してる気がするし、EDはその世代を意識しているのかもしれない。
登場人物が多いからか、話数の中でもエピソードが断片的に感じられる部分が多々あって、そこは気になった。いっそエピソード毎にタイトリングして、この話です!と打ち出した方が分かりやすいのではとも思ったが、断片的でもすっと場面が転換していく方が、各人物たちの物語が平行しながら時間が進んでいる感じが出たりオシャレだったりして、このアニメに合っていたのかもしれない。
最終話でも決着のついていないエピソードはあるが、原作が長編かつキャラクターの多い群像劇なので納得できる。
という風に、最終話を見る前に結末を予測して下書きに書いておいたのだが、見事に裏切られた。最終話は
[時系列を1年後の卒業式前数日にまでワープして、宮村視点で堀や友人たちとの出会いについて振り返るような形で終わった。それまでの話数での出来事ベースの流れるような物語を、最終話に相応しいまとめをしつつメッセージ性も与えていて、]
個人的な予想よりも良かったと感じた。
PUI PUI モルカー (S)
1本が短すぎて判断できないなと思って放置していたのをdアニメストアでまとめて視聴することで解決した。
モルカーの表情が豊かだったり、走る動きがわたわたしているのが可愛かった。可愛さに関して最も印象的だったのは音で、puipuiと鳴くのもそうだが他の効果音がやたらライトなコメディ風味でクセになるものがあった。
話のぶっ飛び加減も、意外性もありつつ何じゃそりゃと笑えてちょうど良かった。
弱キャラ友崎くん (A)
映像に関しては中間評価から引き続き部活の描写の粗さを感じた。1話評価時のカラオケで三人で歌ってる動きのシュールさも最終話に再登場した(ネタバレ)。OPサビの廊下テロップのスピード感は好きだった。
今期で最も首を縦に振ってガンガンにノれるEDだった。最終話ラストにフルOPが流れるタイプ(ネタバレ)で初めてフルを聴いたが、やたら凝られてて聴き応えがあった反面、そちらに意識が行ってしまい本編に集中出来なかったので劇伴的に流れるものとしては良くなかったかもしれない。
1話評価にて「彼女を作ることをスペックとして捉えてるのどうなんだ」みたいなことを抜かしていたが、終盤にてそれについて争うという回収があった。せっかちは良くない。あおいを人生の師とすることで物語が始まって、その師に挑戦をすべく同じ土俵に立たせたところで終わった(ネタバレ)のはキレイだった。日常会話における菊池さんの感受性が豊かすぎるのが気にはなった。
私は時々操作練習やガチ対戦をするくらいには熱心なスマブラプレイヤーなので、アニメ内のスマブラモチーフのゲームについての説明がするする入ってくるし、アニメではこうだけど現実のスマブラだとこんな感じなのかなみたいな、想像が膨らむ楽しさがあった。
バック・アロウ (A)
映像に関しては特別推す感じではなかった。
OPがアツい感じのLiSAで、流行りそうな感じだがあまり話題になっているのを聞かなかった。
円状の「世界壁」に囲まれた世界は、壁による恩恵として未知のテクノロジーをいくつか享受しており、例えばバインドワッパーなる輪は腕にはめることで持ち主の信念をロボ装備として具現化することが出来、それを武装戦力としている。壁を神聖視する人々に対し、壁の外から飛来した記憶喪失の男が壁の外へ帰ろうとすることによって、初めに飛来した村や、壁信仰に基づき壁越えを阻止したい国家などを巻き込んで物語が進んでいく。
覇権を争う2国家の、首脳付近の人物のエピソードが増えるにつれ、それぞれの思惑や信念の強さが明らかになってアツかった。バインドワッパーのおかげで、各人の信念というストーリー的要素が戦闘要素に直結するというスマートさがあった。
以下、選択でネタバレ部分表示
[体内にバインドワッパーを持つことで生身でも破滅的な力を持つ(理屈はよく分からない)というルドルフ選帝卿なる謎の強者が登場するのだが、後の女王を治療する際に彼の血を輸血したことによって、女王は二重人格になったのだという説明が疑問を持たれずに受け止められているのが気になった。また、女王は当時危篤になった時点では継承権40位とかで、女王になるには選帝卿であるルドルフによる働きかけがあったはずだから、もっとルドルフの執着なり狂気なりのドラマが描かれた方が良いのではと思った。]
まさかの2クール目に突入したのでそういった不安は杞憂かもしれない。
あと、とある人物の大失敗、割とそのファッションのせいでは?(ネタバレ回避)
IDOLY PRIDE (B)
映像の面では、劇中のダンスや要所の背景に魅力を感じた。
死んだトップアイドル長瀬麻奈と、そのマネージャーと、麻奈の妹と、麻奈の心臓を移植され回復した女の子、この4人がメインの話。心臓移植手術のくだりが大事になりすぎていて違和感があったが、未練を決別したり過去の憧れに拘るのをやめて自分の表現を!というメッセージを込めつつ変わったことをやるには良い造りだったと思う。メインを掘り下げることによりメッセージ性が強くなり物語は深まる一方、他に8人もいるチームメイトが相対的に空気と化すところが、不可避ながら難しさを感じた。むしろチームメイトは主軸を語る上で一切必要ないとまで言える。本アニメでは、チームメイトは「プロデューサーとしての目に見える仕事をした感=スカウトしたりチームを2つにしたりする判断」の演出のために用意されたモブとして捉えた方が分かりやすい。プロデューサーを描くのは難しいんだなという発見だった。このようなシナリオは、触れられていないキャラの話をアプリゲームで補完することが前提としてある、と友人に言われてある程度納得できた。
最終話は、可能性としては最高打点の着地ではあるけど八百長疑われそうなレベルに都合の良い結果だった(ネタバレ)。
心臓移植された女の子が麻奈に歌声が似ているという設定が実際に似ていたのはすごいキャスティングだったと思う。曲も異常に良くて曲数自体も多く、ダンスもそれぞれ作られていて予算を感じた。全体的にシティポップ(広義)風味のものが多く、これは世間的なシティポップ再流行に合わせた作風と思われるが、アイドルソングとしては意匠が強めな割にアニメ内でも触れられないため、違和感のあるものもあった。
このように書いてきて、乗り越える対象としての過去のアイドル長瀬麻奈の曲が最も直球的にシティポップ然としているのを「シティポップ=過去の流行≒1世代前のもの=過去のトップアイドル」と見立てることも可能?とも思えてきたが、憶測が過ぎるのでここで止めておく。
散々語ったが、理論派アニソンオタクやシティポップ原理主義者が突撃してきたら泣きながら降参すると思う。
それはそれとして曲が好きだった。
ゲキドル(B)
ダンスを含めて映像はあまり魅力的ではなかった。
全話通して、メンバーたちの声の演技に惹かれない場面が多く、物足りないと感じていた。10話のオーディションは良かった。花澤香菜の凄さが引き立っていた。
6話で抱き枕カバーEDにエロ以外の意味が出たところはとても良かった。
登場人物たちが、大切な人を亡くした心の隙間を演技練習用AI(ドール)で埋めてしまう痛々しさが良かった。不穏な世界で皆が何かしら不安定で安心感のない視聴が続く中、まこちが普通の一般女性として可愛かったのは救いだった。
後半話数では世界のあらましが明らかになった。
[この世界は、未来からドールや演劇システムを持ち込まれたことにより不正に改変され、Fate世界の剪定事象のような状態(閉ざされる世界)になっていた。劇場支配人かをるはその出来事におけるゲイザー(過去改変監視人)だった。劇場メンバーたちが、役者や裏方としての役割を見つけて、かをるの残したメモのような脚本(ファンタジーのようだが事実)を整理し、演劇にて結末に回答を与えたことにより、知らないうちに過去を再現しつつ別の世界線へ導くことで世界を救い、改変前の世界に戻る]
という結末で、全話通して振り返るとキレイな造りだったと感じた。
装甲娘戦記 (B)
映像に関しては特に後半は全く推せないが、やたらと日本のローカルを主張してくるところと、それを含めてセリフが多くて俗っぽくて素な謎のテンポ感は初回からの期待の通りで好きだった。
OPがサビ前一呼吸から一気にテンポ変わって別の曲みたいになるやつ、初めは奇をてらいすぎだと思っていたけど12回も繰り返して聞くと丁度良いアクセントくらいになっていて巧いなと感じた。
ローカルをがっつり出すスタイルに関しては、意図があるとしたら出身地の視聴者に身近さを感じさせるみたいなことかなと思われる。
私の出身地でいうと、福岡の都市高速とか天神地下街とかキャナルとか、あとは熊本城が最終作戦に絡んで登場して、うっすら郷愁を感じた。
セリフに関して、特に10話は動きがほぼなくて実質ボイスドラマだったのに、そのボイスドラマが面白いのはすごかった。日本や各国のトップ達とAIとで会議する回で、主人公達の任務や状況が良く分かった。
最終話の結末が少し忙しく見えたのが惜しかった。
余談だがつい先日ローリングガールズを見始めて独特の空気に既視感を覚えたが、よく見たら脚本家が同じ方だった。ロリガの雰囲気が好きな人には良いかもしれない。世間と逆の入口から入った感がある。
#おわり
#おしり